REN TAKADA 20TH SPECIAL SITE
OFFICIAL SITE

CONCERT FOR MODERN TIMESCONCERT FOR MODERN TIMES

REN TAKADA

20TH SPECIAL SITE

INTRODUCTION

祝!ソロ・デビュー20周年!
最新作『CONCERT FOR MODERN TIMES』完成!

今年6月にソロ・デビュー20周年を迎えた高田漣。前作『FRESH』から約3年ぶりの新作『CONCERT FOR MODERN TIMES』を今秋にリリースします。本作は国の重要文化財である「自由学園明日館」の講堂にて、8人編成のバンドによるライブ形式で一発録音された作品。20世紀を代表するモダニズム建築家、フランク・ロイド・ライトの設計による自由学園明日館。その<場>の魔力に導かれるように書き下ろした新曲5曲に既発曲のセルフ・カヴァー等を含む全10曲を収録。


建物のモダニズムが高田漣の文学性を引き出した。
名演奏家の奥に芽生えていた静謐なコンチェルトが聴ける。
細野晴臣


RELEASE INFO

高田漣『CONCERT FOR MODERN TIMES』

10/19(水)発売 / FJ234 / ¥3,000+税

高田漣『CONCERT FOR MODERN TIMES』
  1. 01. In A Mist
  2. 02. 明日の館
  3. 03. オーランドー
  4. 04. 赤い風車
  5. 05. 浜の宿
  1. 06. 路地裏のシーニュ
  2. 07. あかんぼ殺しのマリー・ファラーについて
  3. 08. ブルース
  4. 09. 昇る庭園
  5. 10. フランク・ロイド・ライトに捧げる歌
メンバー
  • 高田漣:Vocal, Acoustic Guitar, Resonator Guitar, Banjo & Mandolin
  • 伊藤大地:Drums
  • 伊賀航:Bass
  • ハタヤテツヤ:Piano & Accordion
  • 伊藤彩:1st Violin
  • 吉田篤貴:2nd Violin
  • 三木章子:Viola
  • 村中俊之:Cello

MESSAGE

 二〇二二年が自分のソロ活動二十周年の記念すべき年であるということはこのアルバム『CONCERT FOR MODERN TIMES』を制作する上で重要事項ではありませんでした。実のところ、このアルバムを制作する経緯や録音過程があまりに特異なので、意識しなかった――或いは出来なかった――というのが事実かも知れません。通常のアルバム制作とは違い、まずは趣のある<場>での録音という命題があったのです。近年でいえばニール・ヤング『バーン』や古くはジェイムズ・テイラー『ワン・マン・ドック』や細野晴臣『ホソノハウス』のような通常のスタジオ空間でない場所での録音、さらに欲を付け加えて一発録りライブ録音、且つそれをウィーリー・ネルソン『テアトロ』に於けるヴィム・ヴェンダース監督のようにドキュメント作品として映像にも残すという些か無謀ともいえるアイデアがありきだったのです。会場選びの最初期から念頭にあったのは二十世紀を代表するモダニズム建築家フランク・ロイド・ライトの設計による自由学園の明日館で、光栄にも実現に至りました。実際に録音に使用させて頂いたのはその本館ではなく講堂ではありましたが、場所柄あまり大きな音量での演奏が不可能であり、その<場>の持つ魔力に導かれるまま室内楽的な作品を作ることになりました。

 この明日館が建てられた今から百年前の一九二〇年代、モダニズムは建築のみならずあらゆる分野に渡って模索されました。このアルバムに先立って書いていた「オーランドー」はモダニズム文学のヴァージニア・ウルフの同名小説からタイトルを頂きました。ここに選ばれた作品はすべて何らかのかたちで、この時代、或いはモダン・タイムズ――即ち近代――に関係するもので、同時にタイトルのコンサート<Concert>はライブ演奏の意味でもありますが、同時にその語源であるラテン語<Concerto>の「論じ合う」という意味も含んでいます。混沌として、様々な分断ばかりが感じられる二十一世紀の二十年代にあらためて「近代化とは何であろうか」ということを考える少しばかりの助けになればと願って止みません。

 そしてこの場を借りて、この無謀な試みに参加して下さった音楽家の皆様、音響班や撮影班の皆様、そして何より二十年間波風立てずに粛々と活動を続けてきた高田漣を応援して下さった皆様に心よりの感謝の気持ちをお伝えさせて頂きたいです。

二〇二二年七月某日 高田漣

高田漣

COMMENTARY

高田漣による全曲解説

1. In A Mist

狂騒の二十年代の作曲家/演奏家の中でもずば抜けてモダンなビックス・バイダーベックの楽曲。調性が破壊されるような平行移動などの独自の和声感覚を、現在パリを拠点に活躍する朋友・中島ノブユキ氏はフランス印象派からの影響を感じさせる響きと称しました。弦楽のアレンジを加えると何処となく僕の敬愛するヴァン・ダイク・パークスの作品のようにも聞こえます。

2. 明日の館

文字通り、明日館に捧げた詩と楽曲。ライトが思い描いたであろう祖国の大草原(プレイリー)やフレスコ画、直線で描かれた美しい南向きの窓、出来ることならばずっとあの場所にいたいと思わせる空間でした。

3. オーランドー

モダニズム文学を象徴する作家ヴァージニア・ウルフの同名小説からインスパイアされた楽曲。ですが、詩の内容はウルフの別作品『灯台にて』や『波』に近い水辺の揺蕩いといったほうが適切かも知れません。編曲面ではニール・ヤング『バーン』を想定していたことがあまりにも解り易く感じられるでしょう。

4. 赤い風車

パリのモンマルトルにあったという伝説のキャバレー・ムーラン・ルージュや、そこに毎夜の如く出没した画家ロートレックへの憧れを抱く二十年代の画家志望の主人公を描きました。作編曲的にはエルビス・コステロとブロドスキー・カルテットの『ジュリエット・レターズ』を意識して、当初は弦楽四重奏と歌のみを想定していました。

5. 浜の宿

大正十四年(一九二五年)八月に祖父の高田豊が残した詩に曲を付けました。一度も逢えなかった豊さんですが、詩の中で出会えるような、そんな不思議な感覚を覚えました。

6. 路地裏のシーニュ

ウルフと同じくモダニズム文学を代表する作家マルセル・プルーストの文学史的名作『失われた時を求めて』から着想した物語。シーニュとは同時代の言語学者フェルディナン・ド・ソシュールの説いた記号論による。音楽的にはハーフタイム・シャッフルによる合衆国西海岸的な風情も感じます。

7. あかんぼ殺しのマリー・ファラーについて

ドイツの劇作家であり詩人のベルトルト・ブレヒトによるあまりにも悲しい詩。明日館が建てられた時期に実際にあったこの事件の裁判に通い詰めたブレヒトは詩集『家庭用説教集』にこの詩を残した。作曲したのは父・高田渡と親交の深かった放送作家でシンガーソングライターでもあった佐藤GWAN博さん。父・高田渡は自身最後のスタジオ・アルバムとなった『日本に来た外国詩…。』でこの楽曲をカバーするか最終段階まで迷っていました。

8. ブルース

アメリカを代表する十九世紀の詩人エミリー・ディキンソンの詩に高田渡が曲を付けた楽曲ですが、この曲の元ネタは二十年代に活躍したミシシッピ・ジョン・ハートによる「Louis Collins」。短い詩ながらとても深く心に響きます。

9. 昇る庭園

後半に出てくる「沈める寺」という一節はいうまでもなくフランス印象派のクロード・ドビュッシーの引用ですが、詩の内容は孤独に人生を終える主人公の断末魔。この庭園が楽園であって欲しいと願いますが……。編曲的には緊張感溢れるミニマムさ、息を飲むように歌いました。

10. フランク・ロイド・ライトに捧げる歌

大学時代に建築を学んでいたというアート・ガーファンクルの提案に応え、ポール・サイモンが書いたサイモン&ガーファンクル『明日に架ける橋』に収録された佳曲。聴いていると何気ないけれど演奏してみると実に難解な転調を繰り広げる不可思議な楽曲。出来上がった楽曲を聴いてみると……やはり自然だ。


COMMENTARY from RYOHEI MATSUNAGA

高田漣のデビュー20周年を飾る意欲的な作品『CONCERT FOR MODERN TIMES』は、もしかして、高田漣というひとりのミュージシャンの来し方20年の節目となるだけでなく、この先の数十年の活動にも大きく作用する作品かもしれない。

 レコーディングの舞台となったのは、東京・豊島区にある「自由学園明日館」。羽仁もと子、羽仁吉一夫妻が、勉強のための勉強ではなく生活すべてを勉強の場としてとらえるという理念のもとに設立した学校で、アメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトが設計を担当した。開校したのは101年前の1921年4月。今年(2022年)は、ちょうど1世紀を渡りきって次の世紀へと帆を進めるタイミングでもある。

 その「講堂」は、近年、数々のアーティストによってライブに使われてきた。演奏は基本的にアコースティックなスタイルになる。だが、建物に由来する豊かな音響構造はその控えめな音量を不足とは感じさせないどころか、もっと大きな意味での芸術を作り出せる可能性を秘めている。

 2022年のある日、高田が挑んだのは、この空間でのライブ・レコーディング。それも1日限りで10曲を演奏・収録し、さらには、プレイヤーたちの息遣いやこの場所の持つ歴史や自然な陰影まで映像として記録してしまおうという試みだった(映像ディレクターは村尾輝忠)。

 当日の演奏に向けて、細野晴臣のサポートを長年共に務めたリズム隊である伊賀航、伊藤大地の2人をはじめ、旧知のピアニストのハタヤテツヤ、そしてストリングス・カルテット(伊藤彩、吉田篤貴、三木章子、村中俊之)が集った。新しい曲作り、カヴァー曲のセレクト、楽曲のアレンジに高田は没頭し、当日午後の3時間ほどしか与えられていない本番の、やり直しが簡単にできない状況に対応すべく、事前にバンドでの綿密なリハーサルが重ねられた。

 アルバムには高田のオリジナルが5曲、カヴァーが5曲、ちょうど半々の割合で収められた。それぞれが高田の過去と現在を反映していて興味深い。

 オリジナル曲では、この「明日館」で歌うことを前提として作られたテーマ曲のような「明日の館」があるいっぽうで、高田の生来の読書癖(とりわけ外国文学への耽溺ぶり!)を反映した「オーランドー」や「路地裏のシーニュ」といった曲がひときわ耳を引く。「明日館」という百年の歴史を持つ場所で、高田は百年前の人々が拠り所とし、迷いを照らす常夜灯の役割を果たしたヴァージニア・ウルフ、ロートレック、マルセル・プルースト、ドビュッシーなど、当時を生きた文化人たちの作品や名も知れぬ人々たちの哀歓に思いを馳せ、作家のような態度で物語を書き上げたのだろう。

 もちろん、そこにはニール・ヤング『バーン』(2021年)やエルヴィス・コステロ&ブロドスキー・カルテット『ジュリエット・レターズ』(1993年)など、高田が現代のミュージシャンとして敬慕するサウンドを演出として取り入れながらのアプローチもある。ヴィンテージであることにこだわりすぎず、現代のレンズやフィルムも自在に使う映像作家のように、絶妙に心のピントを合わせてゆく。

 そうしたオリジナル曲のまなざしが現代から過去へのアプローチだとしたら、バラバラに存在していたはずの過去と現在をつなぐ接点として働いているのが、今回のカヴァー曲だ。アルバムの冒頭と掉尾を飾る2曲のインストゥルメンタル、「In A Mist」(ビックス・バイダーベック)と「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌」(サイモン&ガーファンクル)。どちらも不思議な構造を持つ至難の曲だったと高田は振り返る。「明日館」の作者であるライトが生きた当時に書かれた曲としてはおそろしく斬新で、時代を超えたミステリーのような前者。そして、設計者が亡くなっても建物が残るという時空を超えた永遠性を、追慕とともに表現した後者。そのサンドイッチ構造は、このアルバムの入り口と出口だと言い換えてもいい。

 そして、歌もののカヴァー3曲では、高田自身の“系図”が音楽で語られる。祖父・高田豊の曲に新たに曲をつけた「浜の宿」。エミリー・ディッキンソンの詩篇の訳文を父・高田渡が歌にした「ブルース」。そして、父の旧友であった佐藤“GWAN”博の長年のレパートリーであり、高田が幼い頃から身体に染み込むように知っていた大曲「あかんぼ殺しのマリー・ファラーについて」を取り上げるにあたっては、高田渡も晩年にこの曲をカヴァーすることを考えていたことを知るというエピソードの封印が解かれた。

 音楽家・高田漣にとっての限りなく個人史のようでありながら、同時にこの百年を異なる場所で生きていた人々の物語のようでもある。ひとつのテーマ性が時間軸を超え、物語の背後で微妙につながり合う連作集のよう。その舞台として「明日館」は完璧に機能した。

 こんな稀有な作品に触れたせいか、「アコースティック」や「レコーディング」といった、普段当たり前のように使っていたワードのことがとても気になりはじめた。

 「アコースティック(acoustic)」は「加工していない音そのまま=生音」という意味で使われるが、本来は「音響的」という広い意味を持つ。その語源には、古代ギリシャ語の「聴く」があるのだそうだ。そして「レコーディング」すなわち、レコード(record)は現代では「記録」という意味だが、この語源はラテン語にある。「re」は現代と同じく「再び」の意味だが「cord」には「心」という意味があったそうだ。

 「再び心に思い、その音を聴く」。『CONCERT FOR MODERN TIMES』という作品にとって、これ以上ぴったりと響き合う言葉はない。

松永良平(リズム&ペンシル)


LIVE FOOTAGE

映像版『CONCERT FOR MODERN TIMES』 ※終了

配信日程:8/20(土)18:00〜9/4(日)23:59
視聴チケット:¥2,000 ※Tシャツ付きチケットあり。
販売期間:8/19(金)17:00~9/4(日)23:00
受付URL:イープラス:https://eplus.jp/rentakada-stp/
配信メディア:Streaming+
※視聴方法、チケット購入に関するご不明点は、下記URLをご確認ください。
https://eplus.jp/sf/guide/streamingplus-userguide

映像版『CONCERT FOR MODERN TIMES』 アンコール配信

配信日程:10/14(金)19:00〜10/23(日)23:59
視聴チケット:¥1,500 ※Tシャツ付きチケットあり。
販売期間:10/14(金)12:00~10/23(日)23:00
受付URL:イープラス:https://eplus.jp/rentakada-ec-stp/
配信メディア:Streaming+
※視聴方法、チケット購入に関するご不明点は、下記URLをご確認ください。
https://eplus.jp/sf/guide/streamingplus-userguide

新型コロナウイルス感染予防対策チェックリスト(2022.7.1更新)

REN TAKADA CONCERT FOR MODERN TIMES LIVE FOOTAGE

MV

フランク・ロイド・ライトに捧げる歌

路地裏のシーニュ


SCREENING PARTY

映像版『CONCERT FOR MODERN TIMES』上映会 ※終了

9/8(木)@横浜・象の鼻テラス
開場19:00 / 開演19:30
出演:高田漣、聞き手:松永良平(リズム&ペンシル)
チケット:¥2,500 ※整理番号付き
チケット取扱:イープラス:https://eplus.jp/rentakada/
チケット発売日:8/20(土)12:00〜


LIVE SCHEDULE

20周年記念ライブ開催決定!

REN TAKADA CONCERT FOR 20TH ANNIVERSARY

2022/10/28(金)@ビルボードライブ東京

1stステージ 17:00開場 / 18:00開演 2ndステージ 20:00開場 / 21:00開演
→ 詳しくはこちら

2022/11/04(金)@ビルボードライブ大阪

1stステージ 17:00開場 / 18:00開演 2ndステージ 20:00開場 / 21:00開演
→ 詳しくはこちら

出演:高田漣(Vo,G) w/伊藤大地(Drs), 伊賀航(B), ハタヤテツヤ(Key)
チケット:サービスエリア¥6,500 / カジュアルエリア¥6,000(1ドリンク付)

REN TAKADA CONCERT FOR 20TH ANNIVERSARY